ナスダックで初のSui連動ETFが承認：21Sharesが2倍レバレッジSUIファンドをローンチ

Sui はついにウォール街デビューを果たしました。2025年12月4日、21Sharesは初となるSuiブロックチェーン連動型のETF をローンチしました。2×ロングSUI ETF（ティッカー：TXXS）は現在Nasdaqで取引されています。米国証券取引委員会（SEC）に承認されており、このレバレッジ型ファンドはSUIトークンの日次パフォーマンスの2倍を目指して設計されています。これにより、米国投資家向けの規制下で提供される初のSui ETFとなりました。

TXXSは暗号資産を直接保有するスポットETFとは異なり、デリバティブを活用してSuiの価格変動を追跡・増幅します。この上場は21Sharesだけでなく、急速に成長するレイヤー1ブロックチェーンとして注目されるSuiエコシステムにとっても大きな前進です。この商品により、個人と機関投資家は従来の証券口座を通じてSUIへのレバレッジ投資が可能になり、ウォレットや秘密鍵、取引所は不要です。

初の事例―そしてSuiにとっても初

TXXSは単なるSui初のETFにとどまらず、Sui連動でレバレッジ型としては史上初のETFです。これは暗号資産分野では極めて珍しいことです。イーサリアムやSolanaを含む多くの主要レイヤー1ネットワークは、まずスポットや先物型ETFで市場参入し、その後にレバレッジ型が登場してきました。Suiの場合、市場の流れは逆転しました。このETFデビューは初めから日次2倍の価格連動を実現し、発行者の強い信念と新興チェーンに連動した拡張戦略への需要を示しています。

タイミングも注目に値します。2025年は暗号ETFのブームが続き、今年だけですでに70本以上がローンチされ、Bloombergは年末までに150本超になると予測しています。それでもBTCとETHのペア以外はまだ少数です。TXXSはSuiをETF市場に押し上げ、規制下の大衆向けデジタル資産へと加速させます。わずか2年前にローンチしたネットワークとしては異例のウォール街進出です。

TXXSの仕組み―レバレッジ型暗号投資の基礎

TXXSは2×レバレッジETFであり、SUIトークンの価格変動の日次リターンを2倍にする設計です。ただし、これは日々の値動きのみを対象としています。SUIがある取引日に5%上昇した場合、TXXSは10%の利益を目指します。逆にSUIが3%下落すれば、ファンドは6%の損失を目標とします。この増幅されたエクスポージャーはスワップや先物などのデリバティブ契約によって実現され、SUI自体を直接保有するわけではありません。

重要なのは、TXXSのようなレバレッジETFは毎日リセットされるため、短期トレード向きで長期保有には適していない点です。複数日にわたる場合、複利効果によりファンドのパフォーマンスは厳密な2倍から乖離することがあります。そのため、発行者やアナリストは、レバレッジ型商品は短期的な勢いを狙う熟練トレーダーにこそ適しており、長期的な上昇を期待するパッシブ投資家には不向きと強調しています。

それでも、TXXSの魅力は明確です。Suiの値動きへ、ウォレットや取引所口座、証拠金口座なしで投資できる規制下の簡便な方法を提供します。多くのトレーダーにとってこの手軽なアクセス性はリスクを上回る価値となるでしょう。

「自信の表れ」―業界が讃えるSui初のETFローンチ

TXXSのローンチは、暗号業界や金融業界から即座に反響を呼びました。21Sharesにとっては、構造化された暗号商品を規制市場に提供するリーダーとしての地位を強化するものです。21SharesのCEO、Russell Barlow氏は「デジタル資産の広範な普及は、消費者にわかりやすい技術応用を提供できるかどうかにかかっている」と述べ、「このローンチにより、21Sharesは時流に乗った勝者を活用し、シンプルさが支配する次世代ブロックチェーンの時代を切り開く」とコメントしました。

Suiのリーダーもこれに熱意を示しています。Mysten LabsのCEO、Evan Cheng氏は「Suiが資本市場での役割を担う準備ができた証」と述べています。Suiエコシステム内の関係者にとって、TXXSは単なる商品の登場にとどまらず機関投資家からの信認の表れです。BloombergのETFアナリスト、Eric Balchunas氏は、資産の初ETFがレバレッジ型となるのは稀だとし、TXXSは「大胆な一手」でSuiの市場における長期的な地位への自信を象徴していると指摘しました。

通過点以上の意味―TXXSが示すSuiネットワークの成熟

TXXSの承認は単なる新しい取引商品の登場にとどまらず、Suiエコシステムが成熟の新たな段階に入ったことを示しています。2023年のローンチ以来、Suiは性能・使いやすさ・開発者体験に特化したレイヤー1ブロックチェーンとして独自の地位を築いてきました。並列トランザクション実行、オブジェクト指向スマートコントラクト、GoogleやFace IDログインなどのシームレスなオンボーディング機能をサポートしています。アプリがユーザーのガス代を負担するスポンサー付きトランザクションと組み合わせることで、Suiはエンドユーザーにとってブロックチェーンの存在を感じさせない体験を目指しています。

このミッションは実を結び始めています。ネットワークは直近30日間のDEX取引高が100億ドルを突破し、月間ステーブルコイン移転総額は4カ月連続で1,800億ドル超を維持しています。TVL（Total Value Locked）は10億ドル目前で、エコシステム規模でトップ15チェーンに入っています。DeFiプロトコルからゲームプラットフォーム、実世界資産のトークン化まで、Sui上で新たな活用事例が生まれています。

今やTXXSがNasdaqで取引されることで、Suiは暗号ネイティブ層の枠を超えました。このファンドにより、従来の投資家もウォレットやトークンなしでSuiの成長に規制された証券会社経由で投資できるようになりました。これにより、エコシステムはさらなる可視性と流動性、そしてオンチェーンとオフチェーンをつなぐ新たな架け橋を手にします。

TXXSが承認され、スポットSUI ETFがまだ待機状態の理由

TXXSは米規制当局が慎重に暗号資産ベースの投資商品の枠を拡大する中で登場しました。その承認は、SECが最近複数の3×・5×レバレッジ暗号ETFのローンチをポートフォリオ構造やリスク露出の懸念から阻止した直後であることからも注目されます。現時点で同庁は、ファンドがRule 18f-4の厳格な順守と抜け穴の回避を前提に、2倍レバレッジまでを容認する構えです。

この違いが、21SharesによるスポットSUI ETF（承認待ち）よりTXXSが先に進めた理由です。スポット型商品は実際の暗号資産のカストディが必要で、規制面でより厳密な審査を受ける傾向にあるのに対し、TXXSはスワップや先物などのデリバティブを使ってSUIへの露出を模倣しています。この構造によって、SECの市場監視や投資家保護基準を満たしやすくなっています。

現時点でレバレッジETFは上場していますが、スポット版は審査中で承認時期は未定です。ただし、TXXSの成功は将来のSui関連商品に対する規制基盤となる可能性があります。パフォーマンスや市場の関心が高ければ、SECがスポットSUI ETFにゴーサインを出す確率も高まるでしょう。

市場への影響と今後の展望

Sui（SUI）価格

出典：CoinMarketCap

TXXSのローンチは、SUIの価格アクションにとって重要なタイミングとなりました。秋以降は3ドル超から1.3ドル前後まで下落を続けていましたが、ETF発表後は回復の兆しを見せています。ETF発表を受けてSUIは1.60～1.70ドル台まで戻し、週間8％程の上昇となりました。この動きは下落トレンドを完全に打破したものではありませんが、ETFが新たな促進剤となる可能性にトレーダーは慎重な楽観を見せています。

ただし、真価が問われるのはこれからです。レバレッジETFはアクティブな高頻度トレーダーを惹きつけやすく、TXXSが市場にもたらすボラティリティは大きくなる可能性もあります。利益の拡大も見込めますが、逆に下落時の損失は増幅されます。TXXSの取引高が伸びれば、従来型ポートフォリオにおけるSuiへの関心の高まりを示すでしょう。そうでない場合、流動性不足に悩む他のアルトコインETF同様に苦戦する可能性もあります。

アナリストの見解では、TXXS単独で市場を動かすことはないものの、新しい価値としてオンチェーン成長とオフチェーン資金の橋渡しを提供します。大衆普及を目指すエコシステムにとって、それは決定的な一歩であり、将来的なSuiベースの金融商品拡大の扉を開きます。

今後のSuiと暗号ETFの展望

NasdaqでTXXSが取引開始となり、Suiは規制金融市場への進出を果たしたレイヤー1ネットワークの一員となりました。今回はスポット型ではなくレバレッジ型を通じてのデビューですが、アクセス拡大と機関信認獲得に向けた重要なステップです。

今後は市場の反応次第となります。ETFが強い需要と取引高を集めれば、今年初めに21Sharesが申請した未承認のスポットSUI ETFをはじめ、Sui連動型の他の投資商品への道が開かれるでしょう。より広範に見れば、TXXSはSuiが高い性能と持続力を持つブロックチェーンであることを証明し、DeFiだけでなくウォール街でも存在感を示す契機になるかもしれません。

いずれにせよ、本ローンチは投資家とビルダーの双方にとって、次世代レイヤー1成長の恩恵に規制下で簡単にアクセスできる貴重な機会です。可視性とアクセスが全ての業界において、それは今後の可能性を大きく左右する要因となり得ます。