米証券取引委員会（SEC）は、仮想通貨業界におけるトークン化を促進するため、規制枠組みに「イノベーション免除」を新設する可能性を検討している。SECのポール・アトキンス委員長が金曜の記者会見で語った。

ブルームバーグの報道 によれば、アトキンス氏は、トークン化を促進するための変更点をSECスタッフが検討しており、その中には新たな取引手法を認める「イノベーション免除」の導入や、トークン化された証券のエコシステムの発展を支援するための限定的な救済措置などがあるという。

アトキンス氏は、「トークン化できるものは、すべてトークン化される」と述べ、資産のオンチェーン移行は不可避であるとの見方を示した。最終的な結果には不確実性があることを認めつつも、業界の将来に対して楽観的な姿勢を示した。

仮想通貨関連法案が可決

前日の木曜、米議会下院では「GENIUS法」をはじめとする仮想通貨関連の3法案が 可決された 。他の2法案は、「デジタル資産市場明確化（CLARITY）法」と「中央銀行デジタル通貨（CBDC）監視国家反対法」だ。

アトキンス氏は、前任のゲイリー・ゲンスラー氏と異なり、仮想通貨に対して前向きな姿勢で知られている。GENIUS法の可決を受けてアトキンス氏は、「ブロックチェーンと仮想通貨の技術は、米国の金融インフラを根本から変革し、効率性の向上、コスト削減、透明性の確保、リスク軽減をもたらす可能性がある」と述べた。

なお、GENIUS法案はトランプ大統領の署名を経て 成立する見通しだ 。署名後は、最長で18カ月以内、または財務省および連邦準備制度理事会（FRB）がGENIUS法の実施に向けた最終規則を発行してから120日以内に発効する。

DeFi支持派は歓迎の声

仮想通貨業界の支持者たちは、この法案を歓迎している。イーサリアム開発者のエリック・コナー氏は、「これはDeFiが規制論争に勝ち始めているという最も明確なシグナルだ」と コメントした 。

一方、ステーブルコイン発行体が実際に十分な現金準備を保有していないのではないかという懸念に対して、アトキンス氏は ブルームバーグの取材 で「今回成立が見込まれている新法案が明確にしているのは、ステーブルコインは証券ではないということだ。監督すべきは銀行規制当局であり、それが適切だと考えている」と語った。

ただし、すべての政治家がこの流れに賛成しているわけではない。民主党のエリザベス・ウォーレン上院議員は、今回の法案が消費者保護の面で不十分であると批判。「市場操作や詐欺といった潜在的リスクに、十分に対応できていない」として懸念を表明した。

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