イーサリアムで大規模スラッシング発生=39のバリデータがペナルティを受ける

イーサリアムで大規模スラッシング発生

イーサリアム（Ethereum/ETH）は稀な大規模スラッシングに見舞われ、SSVネットワーク関連のオペレーターのミスにより39のバリデータが異例となるペナルティを受けた。

ブロックチェーンエクスプローラーBeaconcha.inに よると 、2025年9月10日（水曜日）には39のバリデータがペナルティを受けた。これは、2022年のPoS（プルーフ・オブ・ステーク）への移行以来、イーサリアムに影響を与えた最大規模の協調スラッシングの一つとなった。バリデータは、バリデータキーを複数のオペレータに分割することでステーキングインフラストラクチャーを分散化する分散バリデータテクノロジー（DVT）プロトコルである SSV ネットワークに関連付けられていた。

SSVネットワーク関連のオペレーターのミスによって引き起こされたこのインシデントは、ステーキングにおけるインフラのメンテナンスが不十分であることに伴うリスクを浮き彫りにした。なお、事件の規模にもかかわらず、SSV創設者のアロン・ムロク（Alon Muroch）氏は、プロトコル自体が侵害されたわけではないと強調した。

大規模スラッシングの原因は

今回のスラッシングは、分散バリデータ技術を使用するサードパーティのステーキングプロバイダーに関連していた。

削減されたバリデータのクラスターの一つは、LiquidステーキングプロバイダーであるAnkrに関連。Ankrは定期メンテナンス中にペナルティを引き起こし、Allnodesからの移行中にバリデータが重複して設定されたことがさらなるスラッシングにつながったとのことだ。その結果、バリデータ1人あたり約0.3ETH（約19万円）の損失が発生し、非アクティブリークによって損失はさらに悪化した。

ペナルティは厳格だが、悪意のある行為やプロトコルエラーによるものではなく、運用上のミスがバリデータに甚大な経済的損失をもたらす可能性があることを示唆している。

イーサリアムでのスラッシングは稀で、2020年のビーコンチェーン開始以来、120万のバリデータのうち影響を受けたのは500未満だが、今回の事象はその規模の大きさで注目に値する。

人為的ミスがシステムの脆弱性となっていた

ネットワークの整合性を確保するため、イーサリアムのスラッシングメカニズムは不注意または過失のある行動にペナルティを課す。

SSVのDVTのような高度なインフラストラクチャーを使用しているにもかかわらず、9月10日のインシデントは、人為的ミスが依然としてシステムの脆弱性となっていることを示している。今回のインシデント発生時期は、イーサリアムのステーキングエコシステムへの負担が増大している時期と一致している点にも注目が集まっている。

8月には699,000ETH以上が出口キューに追加され、出金に最大12日間の遅延が発生した。Validator Queueのデータによると、ステーキング解除を待っているイーサリアムは250万枚を超えており、これは18カ月ぶりの高水準で、現在適用されている45日間の待機期間は、イーサリアム価格の下落と一致している。

それでも、機関投資家の関心は依然として高く、継続的な変更があるものの、イーサリアムは今年初めの米国の規制の明確化を受けて、2025年5月以降、5万以上の新規バリデータを追加している。