CBOEが12月15日にビットコインとイーサリアム連続先物取引を開始

CBOEが米国規制下で初となる永久型仮想通貨先物を提供する

CBOE （シカゴ・オプション取引所）が2025年12月15日からビットコイン（Bitcoin/BTC）とイーサリアム（Ethereum/ETH）の連続先物を 開始 し、海外で一般的だった永久型エクスポージャーを米国規制下で提供する初の事例となる。

新しい先物は満期ごとのロールオーバーを不要とする構造を採用しており、長期投資の効率性を大きく高める。透明性と監視体制が確保された環境で、機関投資家が安定的に仮想通貨市場へアクセスできる点が注目されている。

規制市場で実現する“ロールオーバー不要”の先物

CBOEは、規制当局の承認を条件として、12月15日から CFE （Cboe Futures Exchange：CBOE先物取引所）でビットコインPBT（Cboe Bitcoin Continuous Futures：CBOEビットコイン連続先物）の連続先物取引を開始すると発表した。

イーサリアムの連続先物も提供予定で、当初は11月10日の開始を予定していたが延期され、改めて12月に実施されることになった。新契約は10年の満期設定を持ちながら、毎日の現金調整によってポジションが自動更新される仕組みを採用している。従来必要だったロールオーバーが不要となるため、長期投資に伴う実務的な負荷が大幅に軽減される。

CBOEデリバティブ部門のグローバルヘッドであるロブ・ホッキング（Rob Hocking）氏は、米国規制下で提供される透明性の高さを強調し、これまで海外で取引されてきた永久先物へのアクセスが改善されると述べた。同氏はまた、リスク管理と戦術的な取引を両立できる構造である点にも触れた。

価格指標には Kaiko （カイコー）のリアルタイムレートが用いられ、毎日適用される「資金調達額」によって現物価格との乖離（かいり）が抑えられる。これにより、契約がビットコインとイーサリアムの市場価値を正確に反映する仕組みが維持される。

長期投資と機関需要に対応する設計

CBOEの連続先物は、長期の仮想通貨エクスポージャーを求める機関投資家向けに再設計されており、取引は日曜日の夕方から金曜日の午後まで、1日23時間可能で、既存のCFEのスケジュールに準拠する。

契約は現金決済で、CFTC規制下のCBOE Clear US（デリバティブ（金融派生商品）取扱い取引所）を通じて中央清算される。これにより、カウンターパーティリスクが抑えられ、オフショア先物と比較して安全性が高い。また、証拠金要件はCFTC基準に従う一方で、FBT（Financially Settled Bitcoin：金融決済ビットコイン）およびFET（Financially Settled Ethereum：金融決済イーサリアム）とのクロスマージンに対応し、資本効率の向上も期待される。

Kaikoの派生データ担当マネージングディレクターであるアン・クレア・モーリス（Anne-Claire Maurice）氏は、米国規制市場に永久先物が導入されることで、これまでのオフショア契約では避けられなかった運用の摩擦が大きく減ると述べた。透明性のある監視環境で長期運用が可能になる点を評価している。

市場理解を深める教育セッションを開催

CBOEは、新商品の複雑性を踏まえ、12月17日と翌年1月に公開教育セッションを開催する予定だ。契約仕様や資金調達の計算方法に加えて、ボラティリティ取引や合成長期ポジションなど戦略的な活用例も解説する計画で、市場参加者の準備を後押しする内容となる。