Ethereumの2025年の大規模アップグレードが完了し、より高速で低コストなメインネットが登場

12月4日、Ethereumの今年2回目の大規模アップグレード「Fusaka」が（Epoch 411392にて）正式にEthereumメインネットでアクティベートされました。今回のアップグレードはEthereumのコンセンサスレイヤーと実行レイヤーの両方で行われ、各Layer 2ネットワークからの大規模トランザクション処理能力を向上させ、ブロックのGasリミットを6000万に引き上げ、BPO forksを通じて今後のblobパラメータ調整の道を開きます。これによりL2手数料が40%から60%削減される見込みです。

このアップグレードは正式完了前から、業界内の著名人たちから期待されていました。例えばBitwiseのチーフインベストメントオフィサーMatt Houganは11月23日に「現在の市場調整により多くの情報が見過ごされている。例えばUNI、ETH、XRPの価値捕捉能力がますます優れてきている。私は市場がまもなくEthereumのFusakaアップグレードのポジティブな影響を再評価し始めると考えている。特に12月3日に予定通りリリースされれば、これは過小評価されているカタリストであり、Ethereumが今回の暗号市場反発をリードする理由の一つだ」と述べています。

Fusakaアップグレードには実際に13個のEIPが含まれていますが、それらをすべて紹介するのは直感的ではありません。今回のEthereumアップグレード完了後、具体的にどのような変化があったのでしょうか？

より速く、より安く

現在のGasレベルを直接見てみましょう：

過去7日間の平均Gwei値は約0.1、過去30日間の平均Gwei値は約0.3です。同時に、11月初めの取引件数と比べても大きな変化はありません。

現在、EthereumメインネットでのUSDT単一送金に必要なGas手数料はすでに0.01ドルまで低下しています。私は約0.029 Gweiのブロックでこのような送金トランザクションを試しましたが、完了まで1分もかかりませんでした。

GasFeesNowのデータによると、現在ETHメインネットでUSDT送金を行う際のGasコストはTronチェーンの約0.016%に過ぎません：

PectraアップグレードのEIP-7783に続き、FusakaアップグレードのEIP-7935はデフォルトのGas上限をさらに引き上げ、Gas上限を6000万にしました。より高いGas上限は、各ブロックでより多くのトランザクションを処理できることを意味し、ブロックの混雑とトランザクション手数料の両方を低減します。

Chainspectのデータによると、現在Ethereumメインネットの理論上のTPS（トランザクション毎秒）ピーク値は238.1に達しており、Ethereum初期の理論TPSピーク値はわずか15でした。10年で約16倍、まさに10年かけての大きな進化です。

PeerDAS、シャーディングの重要な進歩

「FusakaのPeerDASは非常に重要です。なぜなら、これは実質的にシャーディングだからです。Ethereumは、どのノードもごく一部のデータさえ見ることなくブロックコンセンサスに到達できます。そして、これは51%攻撃にも耐性があります——クライアントの確率的検証を採用しており、バリデータの投票ではありません。シャーディングは2015年以来Ethereumの夢であり、データ可用性サンプリングは2017年以来進められてきましたが、ついに実現しました。」

上記のVitalikのツイートからも、FusakaアップグレードでなぜPeerDASが最も注目されているのかが分かります。PeerDAS（EIP-7954）はデータ可用性サンプリングメカニズムを導入し、KZG証明を使用してノードがblobデータのごく一部（1/8）をサンプリングし、ピアノードが保持するデータと比較できるようにします。

これにより、Ethereumはノード規模を増やすことなく各ブロックのblob容量を拡大でき、部分的なデータのみをダウンロードしてL2トランザクションの有効性を検証できるようになります。L2にとって、これは理論上8倍のデータスループットだけでなく、より低いblob手数料とユーザー手数料を意味します。

（画像出典：@jarrodwatts）

ただし、Vitalikも指摘しているように、Fusakaのシャーディングメカニズムには3つの未完成な点があります：

· L2レイヤーではO(c^2)件のトランザクション（cは各ノードの計算量）を処理できますが、Ethereumメインネットでは実現できません。メインネットのスケーラビリティ向上を直接実現するには、BALやePBSなどの定数因子アップグレードによる向上に加え、成熟したZK-EVMが必要です。

· プロポーザー/デベロッパーボトルネック。現在、開発者はすべてのデータを保持し、全ブロックを構築する必要があります。分散型ブロック構築が実現できれば素晴らしいでしょう。

· 依然としてシャード内メモリプールが必要です。

Vitalikは、今後2年間でPeerDASメカニズムを引き続き改善し、その安定性を確保しつつ慎重に規模を拡大し、L2の拡張に活用すると述べています。ZK-EVMが成熟した後は、これをEthereumメインネット内部に移行し、メインネットのスケーラビリティを拡大し、L1のGasも引き続き改善していきます。

急騰するblob手数料

blob Gas手数料が数千万倍に急騰：

Fusakaアップグレード前は、blob Gasはほぼ無料でした。なぜなら、L2がメインネットにblobデータを提出する際に最低手数料が設定されていなかったからです。メインネットのGasが上昇すると、L2はメインネットへのblobデータ送信を停止します。つまり、EthereumメインネットはL2のセキュリティ保証のために「無償労働」していたのです。

Lighterを例に挙げると、彼らは過去1日で全Rollup L2 TPSの約92%を占めていましたが、メインネットに支払った手数料は100ドル未満でした。1年単位で計算すると、平均して1日あたり約670ドルしかメインネットに支払っていません。

したがって、これまでメインネットとL2間のblob Gas手数料には「インセンティブのミスマッチ」が存在していたと言えます。L2はユーザーのGas手数料を下げるためにblobをできるだけ小さくしたい一方、メインネットはL2にセキュリティ保証を提供しているため、blob Gas手数料ができるだけ高いことを望みます。

FusakaアップグレードのEIP-7918提案は、blob Gas手数料をメインネットのGas手数料と連動させ、blob Gas手数料に下限を設け、より安定し予測可能なものにしました。Bitwiseのアナリストによると、Fusakaアップグレード後、blob Gas手数料の最低限度はメインネットの実行基本手数料を16で割った値となり、メインネットにより安定した収入とバーンフローをもたらします。

もちろん、最終的にメインネットにもたらされる収入やバーンの増加は、各L2の具体的な成長状況次第です。