ビットコイン sha256の仕組みを徹底解説

SHA256は、アメリカ国立標準技術研究所（NIST）が開発した、「ハッシュ関数」と呼ばれる技術の一種です。ハッシュ関数とは、あらゆる長さのデータを固定長（256ビット）の“ハッシュ値”へ変換する一方向性変換のこと。元データからハッシュ値を求めるのは簡単ですが、ハッシュ値から元データを推測するのは実質不可能とされており、これがセキュリティ面で大きな強みになっています。

SHA256はSHA-2ファミリーの一部であり、現代的な情報セキュリティ分野やブロックチェーンの主要技術として多くのシステムに採用されています。

ビットコインでのSHA256の採用：歴史と背景

ビットコインが世に出た2009年、中央集権型の通貨や送金システムの課題を解決する非中央集権の枠組みが求められていました。そこで中核となるのが、信頼できる秘密性とデータの不可逆性（改ざん耐性）を両立できるハッシュ関数の活用です。

創始者であるサトシ・ナカモトは、強度なハッシュアルゴリズムであるSHA256をビットコインのコンセンサス・アルゴリズム（Proof of Work、略してPoW）に組み込むことで、不正行為やダブルスペンド（二重支払い）などを防止する仕組みを設計しました。

SHA256の仕組みとビットコインへの応用

1. SHA256によるハッシュ生成の基本プロセス

任意のデータ（例：ブロックの中身やトランザクション情報）がインプットされる。
SHA256アルゴリズムによって、256ビットの固定長データ（ハッシュ値）に変換される。
ハッシュ値は一見ランダムだが、同じ入力からは必ず同じ結果が再現される。
元データの少しの変更でも、全く異なるハッシュ値が得られる。

2. ビットコインブロックチェーンでの役割

ビットコインの「ブロック」は、トランザクション情報が詰まった巨大なデータの塊です。このブロックは以下のようにSHA256によって守られています：

各ブロックには「前のブロックのハッシュ値」が含まれ、これによりチェーン（連鎖）が成立。
新しいブロック生成時には、SHA256を使って適切な条件（例えば先頭に0が一定数以上並ぶハッシュ値）を満たす「ナンス（nonce）」を探す計算が繰り返される（これがマイニング）。
ハッシュ計算による競争（PoW）で選ばれたブロックだけが正当なものと認められる。

この高度な“計算パズル”をクリアするためのマイニング作業者（マイナー）は、このSHA256計算に特化したASICなどの専用機器を使い、膨大な計算能力を投入しています。